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Xenosaga二次創作(現パロ)ブログ。詳細は「このブログについて」カテゴリをご覧ください。
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何となく書きたくなったシーン。
ペレグリーのキャラクターや喋り方の記憶が曖昧なのが微妙なところですが(笑)。ジンもいまいち掴みきれていませんしねぇ。どうなんだろう。当時ジンペレの二次創作とかあんまり見かけなかった気がしますがあったのかしら・・・。

+ + + + + + + + + +

「どういうことなの!?」
ノックもせずに扉を開けて入ってきたペレグリーに、ジンは驚きすらした様子がなかった。
「どうしました?貴女今当直中では?」
「そうじゃなくて!!大学辞めるって今マーグリスが・・・」
白衣姿のペレグリーが肩で息をしながら、ジンの部屋の中へと入ってきた。ここは病院の敷地内にある職員寮。その、ジンに与えられている部屋だ。ワンルームの狭い部屋だが、シャワーもついているし寝泊まりするのには十分な部屋であり、特に激務の外科医たちはほとんどこの部屋か病院にいるかのどちらかという生活を続けていた。もちろんペレグリーの部屋も女子寮にある。
「・・・まったく、見かけによらず口の軽い男ですね」
やれやれと肩を竦めつつ、ジンは作業の手を止めなかった。もともと綺麗で物の少ない部屋だったが、そのジンの私物たちが整理されていっている。明らかに、部屋を出る準備をしているところだった。
「どうして?私たちも教授も、貴方を必要としているわ。出ていくことなんてないじゃない」
「そうするのが1番いいんです。このままでは医局が分裂しかねない。大丈夫ですよ、私なんていなくても問題ありません」
「そんなことないわ!!」
ペレグリーは詰め寄ってジンの腕をつかんだ。ジンが手を止め、ゆっくりとペレグリーに顔を向けた。
「貴女には随分お世話になりました。すみません、すべてが終わった後にきちんと報告しようと思っていたのですが、こんな形で・・・」
「そうじゃないでしょ!?なんで・・・なんでこんな大事なことを報告するのが終わった後なの?どうして私に相談してくれないの!?」
必死に訴えるペレグリーの目に、わずかに涙が浮かんでいる。ジンの腕をつかむ指にも、震えるほどの力が加わっていた。
「・・・貴女に、余計な心配をかけたくなかったのです」
「違う!違う!!」
冷静であまり感情を表に出さないペレグリーが珍しく声を荒げて首をぶんぶんと大きく振った。
「私って貴方にとって何!?ただの荷物だったの!?貴方の人生を左右するような大事な時に、一緒に悩むことすら、許してくれないの!?」
「ペレグリー・・・」
ジンが困ったように眉を寄せる。ペレグリーはジンの腕を離し、ふい、と顔をそむけた。
「一緒に来いって・・・そう言ってくれれば私は迷いもしないのに・・・」
握りしめた手で、こぼれそうな涙をぬぐう。もう片方の瞳に溜まっていたペレグリーの涙を、ジンはそっと指でぬぐった。
「・・・貴女がそう言ってくれるのが分かっていたから、私は言えなかった」
「どうして・・・」
「貴女はまだ若い。医者として、貴女こそこれから大学にも患者にも必要とされる存在になれる。その貴女を、どうして私のわがままで連れ出せますか」
分かってください、と苦しげなジンの瞳が言っている。ペレグリーは目を見開いた。
「でも私は・・・・」
『ピピピピ!』
ペレグリーの白衣のポケットに入っている院内PHSが鳴った。ペレグリーはいら立ちを隠せない表情でPHSを取りだし、耳に当てた。
「はい、私です」
『先生!どこにおられますか?救急外来からコンサルトです。14歳の虫垂炎疑いの・・・』
「わかったわ、行きます」
ふぅ、とため息をつき、ペレグリーは通話ボタンを切った。
「私、日直だから17時までなの。お願い、ちゃんと話を聞かせて。この部屋で待ってて」
訴えるようなまなざしでジンを見つめ、ペレグリーは言った。ジンは曖昧な顔で、ゆっくりと頷いた。そして、ペレグリーが、くい、とジンの袖を手で引き、少し背伸びして顔を近づけると、ジンは促されるように優しく、触れるだけのキスをペレグリーに落としてくれた。
「お願い、約束よ」
吐息がかかる距離で囁きかけ、ペレグリーはジンの部屋から駆け出して行った。


緊急手術やそのあと処理などで、ペレグリーがジンの部屋に戻ってきたのは18時を過ぎていた。
息を切らしてペレグリーがジンの部屋の扉を開けると、そこには、ジンの姿もジンの荷物も・・・もう、何も残っていなかった。
「・・・・・」
ペレグリーはそっと扉を閉め、主のいなくなった部屋の中に静かに入った。電気をつけると、備え付けのベッドと机だけが照らし出される。
「・・・・わかってたわ、貴方が待ってないことくらい・・・」
ペレグリーは呟きながら、ベッドに腰掛けた。そっとマットを撫でたあと、ぼすんと倒れこんだ。この狭いベッドで、ジンと愛を交わしたこともある。
「貴方はいつも、約束を破ってばっかりだったもの・・・」
デートの約束、プレゼントの約束・・・いつも「すみません」とあの少し眉を寄せた困り顔で笑うのだ。
「貴方には私なんて・・・いえ、他人なんて誰も必要ないんでしょうね・・・」
つっと一筋涙がこぼれる。じわりとマットに染み込んでいった。
独りで何でもできる人。誰もが羨む頭脳と技術を持っているのに、それを驕らない人。何でも知っていて、何でも理解できて・・・独りで、生きていける人。
ああでも、女心は理解できないのかもしれない。いや、理解する必要がないと思っているのかもしれないが・・・。
「ジン・・・・」
ギュッと唇をかみしめ、ペレグリーは声を殺して泣いた。
これが、自分の最後の『女の涙』だと心にかたく誓いながら・・・・。
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ジンペレだーー!!
流石いおさん仕事がはやい…!!
サイト全盛期(懐かしすぎる。笑)はちらほら見たような気がしますね~ジンペレ作品。
前の記事の一文だけでも妄想が拡がりましたけど、やっぱりお話ありの作品になるとイイですね~。いつもの黒黄夫婦とは違うアダルティな世界を感じますぞ!!お互い相手のことを考えて動くのに、結局すれ違いを起してしまうのがジンペレだよなぁ…と久々に本編を思い出しつつ懐かしい気持ちになりました…ウッ!基本軸でのジンペレが再開したらまたどうなんだろうな~とか、あえてミルチア附属病院には寄らないジンとか、ジンの住所(今は古書士をやってることとか)を知りながら行かないペレとかも受信しつつ。家族パロのスピンオフどれもすごいぞ…!!
たくめこるく 2016/02/10(Wed) 編集
ジンペレはまりますぜwww
ジンペレありましたかー!覚えてないなぁ!!あの頃に一度戻ってみたいものです(笑)。SNSな今の時代もお手軽感があっていいですけど、個性が光ったサイト時代もよかったなぁと懐古しますねぇ。

ジンペレは、しっぽり大人の恋愛ってのがテーマですかね☆
何歳差くらいがいいかなぁ~ペレは30超えてるだろうなぁ・・・となるとジンは40目前かなぁ・・・とか、妄想が止まりません。
そうそう!あえて病院には近づかないジンと、ジンの事は一応現状を把握しているけど近づけないペレ。でに再会しちゃってどうなるんでしょう!?・・・ほんと、ジンペレだけでいくつも話が作れそうです(笑)。家族パロのスピンオフは一つ一つが存在感ありますからね!!
こるくさんのジンペレなんてものも期待してますぜぇ~~ふふふ
いお 2016/02/14(Sun) 編集
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