Xenosaga二次創作(現パロ)ブログ。詳細は「このブログについて」カテゴリをご覧ください。
+ + + + + + + + + +
子供たちが幼稚園に行っているとあるお昼。シトリンが家事の合間に一人でご飯を食べていると、『ぴこん』と携帯電話の鳴る音がした。
固定電話の隣で充電しているシトリン用の携帯電話を手に取り、画面に目を落とすと、メリスからのメッセージが届いていた。
『また別れちゃった・・・』
短い一言だった。ああ・・・とシトリンはため息をつく。そして返事を打った。
『大丈夫?』
『だいじょうぶくない・・・夜電話していい?』
『電話でもいいけど、今日夜あいてるなら、会って話さない?』
『でも、旦那さんとちびちゃん達はいいの?』
『寝付かせてからなら夫でも大丈夫よ。21時過ぎくらいなら行けるわ』
『うぅー・・・じゃあ会いたい。ごめんね』
『いいよいいよ。メリスも21時で大丈夫?明日朝早くない?』
『仕事残ってるから21時くらいが丁度いいよ
いつものお店で21時、でいいかな?』
『了解じゃあ、お仕事頑張ってね』
「いつものお店」はミルチア駅近くにある。メリスの職場・・・警察署も近くにあるので、会うには都合がよいところだった。
そこは、オフィスビルの地下にある小さなバーで、メリスの行きつけの店である。オーナーは日中普通に働いている人らしく、趣味で夜の2-3時間だけ営業しているという小さなバーで、カウンター席が6席あるだけの狭い店だ。看板も出ていないし、ただ、店の扉に『OPEN』もしくは『CLOSE』の立札がかかっているだけで、まさに隠れ家的なバーだった。いったいどこで知ったのやら、とにかくメリスはこの店をとても気に入っているようで、一人で飲みたいときには仕事帰りによく寄っているらしい。みんなに知られて客が多くなると困るからと、メリスが店に連れてきた友人はシトリンだけだとマスターが前言っていた。
21時少し前、シトリンが店の扉を開けると、すでにメリスはカウンターに座ってお酒を飲んでいた。客はメリス一人だけで、マスターがメリスの前に立っていた。どうやらマスター相手に話をしていたらしい。
「あー!来てくれてありがとーシトリン~~・・・」
どうやらすでに一人で結構飲んでいるようだ・・・。シトリンは苦笑しつつ、メリスの隣に座った。
「何飲んでるの?」
「カカオフィズー・・・ね、マスター」
「『恋する胸の痛み』ですからね。・・・シトリンさんはどうします?いつものでいいですか?」
「はい、お願いします」
マスターがシトリンの前に、まずはお水やお手拭、そしてつまみを出してくれた。
「・・・どうして別れちゃったの?」
「二股されたの・・・もう。何度目だろ、浮気されるの・・・・」
頬杖をつき、メリスは盛大なため息をついた。
「何でかなー・・・頑張ったんだけどなー・・・・」
遠い目をするメリス。
メリスは、女にも男にもよくもてる。友達もたくさんいる。社交的で、明るくて、優しくて・・・メリスにはいいところしかないとシトリンは思っているし、羨ましいところばかりだった。メリスが人の悪口を言っているのなんて聞いたことがない(ただ犯罪者には容赦ないけれど)。
けれど、おそらくそんなメリスの性格のせいで、なんというか・・・男運がない。メリスによってくる男は、彼女の姉御肌・頼りになるところに惹かれているらしく、マザコンだったり、ニートだったり、頼りにならないダメな男だったり、そんな奴らが多い。しかしメリスはそんな男にでも優しく尽くしてしまう。それが相手を増長させてしまうのかもしれない。「俺は男として頼られたいんだ」なんて的外れなことを言って浮気されたことが、これまでも何度もあった。
シトリンはその度に、メリスの愚痴に付き合った。シトリンは聞き上手なので、メリスも思うまま遠慮なく愚痴をいう事が出来たのだろう。
「私がいいなって思う人は、絶対いい男だと思うの!でも、みーんな相手がいるの。しかも素敵な相手が・・・。そうそう、今の上司なんて、すっごく素敵!一回りも年上だけどさ、ああいう尊敬できる人と、付き合いたいなーって思ってるのよ!?」
「うん」
「でも私に寄ってくるのはダメなやつばっかり。わかってるんだけどさー・・・。やっぱり、私がダメなのかなー・・・」
言いながら、カウンターにうつぶせるメリス。シトリンはよしよしとメリスの頭を撫でた。
「そんなことないわ。メリスは優しすぎるのよ」
「シトリンーーー」
ぐすぐす泣きながらメリスはシトリンに肩を寄せてきた。
それから閉店の時間まで、シトリンはずっとメリスの話を聞いてあげた。
店を出ると、夜風が冷たかった。溜まっていたものを全部吐き出したらしく、メリスは店に来た時よりも随分すっきりした顔をしていた。ぐっと伸びをして、よし!と気合を入れなおしている。
「ありがとう、シトリン。また頑張る!次こそはガイナン様みたいないい男を捕まえてみせる!!もう犯罪者ばっかり捕まえるのは飽きた!!」
おー!っと拳を空に突き上げている。
「その意気ね」
シトリンも笑いながら同じように空に拳をあげ、なぜかメリスとハイタッチした。
「私が男だったら絶対メリスにプロポーズするもの。自信持って!」
「そんなこと言ってくれるのシトリンだけよー。もーお願い!嫁に来て!!」
ぐりぐりと抱きつかれ、シトリンは「酔っ払いねぇー」と抱きしめ返してあげた。
PR
この記事にコメントする
ママリンと婦警さん!
いおさんのSSで絵文字って初じゃないでしょうか!?ものすごいレア度を感じつつ、こういう使い方もあるのか~なるほど…!と思っていました。剛速球キャッチボール有り難うございますごちそうさまです!!本当に際限なく続きますねー!
いつぞやの法律関係ネタも拾って下さってありがとうございます(笑)そうか!そして警察の道とは思い至らず…!ほうほう
友情もさることながら、卒業後もこんな関係性で過ごしてきたんだろうなと妄想してしまいますね!!個人的には犯罪者ばっかり捕まえるのは飽きた!が好きです。笑
メリスにも良い人が出来ればいいなぁ~~と思いつつ、憧れの上司・ジギーとのやりとりも見てみたいです!妻帯者の憧れの上司に色々思うんだろうなーとまた妄想…いや、この妄想というかメリス絡みの妄想は多分いおさんと大体被っている筈なので、作品として拝める日をお待ちしておりますよー!!b勿論プチSSでも!
いや~ほんと12月に入ってからというか作業場開業から毎日萌えて大忙しです。これが…萌えの師走…!!!
専業主婦ネタも気長にお待ち頂ければー!
いつぞやの法律関係ネタも拾って下さってありがとうございます(笑)そうか!そして警察の道とは思い至らず…!ほうほう
友情もさることながら、卒業後もこんな関係性で過ごしてきたんだろうなと妄想してしまいますね!!個人的には犯罪者ばっかり捕まえるのは飽きた!が好きです。笑
メリスにも良い人が出来ればいいなぁ~~と思いつつ、憧れの上司・ジギーとのやりとりも見てみたいです!妻帯者の憧れの上司に色々思うんだろうなーとまた妄想…いや、この妄想というかメリス絡みの妄想は多分いおさんと大体被っている筈なので、作品として拝める日をお待ちしておりますよー!!b勿論プチSSでも!
いや~ほんと12月に入ってからというか作業場開業から毎日萌えて大忙しです。これが…萌えの師走…!!!
専業主婦ネタも気長にお待ち頂ければー!
萌えの師走!
SSで絵文字、言われてみれば初めてかもしれませんねー。なんとなく、せっかくブログに絵文字機能がついているので使ってみました!
しかし、書きながら、以前の家族ブログやってたころにはスマホもLINEもなかったなーなんて時の流れを感じてしまいましたよ。しみじみ。
ご感想ありがとうございますー!
メリスも幸せになってほしいですねー。きっとこんな感じでずっと仲良くしてるんですよー。女の子の友情もイイ!!
メリスを絡めたSSネタは、すでに2-3個スタンバっていますが、出来上がるのはいつになりますやら・・・。
プチSSでよければそりゃもう毎日でも書けると思いますがね!!お手軽簡単短時間!!(笑)
ほんと萌えの師走ですねー。
今月はパソコンに向かえる時間がたくさんあるので、ばんばん書いていきますよー!!
自分でもハイスピードだと自覚してますので、お返事とかあんまり無理されないでくださいねー!お休みの時とかに、暇つぶしにでものんびり見てやってください~!!
しかし、書きながら、以前の家族ブログやってたころにはスマホもLINEもなかったなーなんて時の流れを感じてしまいましたよ。しみじみ。
ご感想ありがとうございますー!
メリスも幸せになってほしいですねー。きっとこんな感じでずっと仲良くしてるんですよー。女の子の友情もイイ!!
メリスを絡めたSSネタは、すでに2-3個スタンバっていますが、出来上がるのはいつになりますやら・・・。
プチSSでよければそりゃもう毎日でも書けると思いますがね!!お手軽簡単短時間!!(笑)
ほんと萌えの師走ですねー。
今月はパソコンに向かえる時間がたくさんあるので、ばんばん書いていきますよー!!
自分でもハイスピードだと自覚してますので、お返事とかあんまり無理されないでくださいねー!お休みの時とかに、暇つぶしにでものんびり見てやってください~!!
運営者
専こるく & いお